銀職人のつぶやき

銀職人松浦仁史の 日々のコト、作品作りのコトをとりとめもなく綴ります。

2022年05月

IMG_2391


リングの鋳造が終わり、
業者から戻ってきたリングを
荒磨きしたものです。


 戻ったばかりのものは、
 銀の流し込み口になっている
 湯道のはしがまだ残っており、
 全体的に光沢もなく
 とてもシルバーには見えません。
 (前回のブログの写真と比べてみてください)


完成までは、
ここから何度も磨きをかけていき
綺麗に仕上げていくのですが、
幾つかの工程がありますので、
実はここからの作業も大変です。


まず、 
先ほど書いた湯道を
デザインに沿って削ります。
(右が湯道つきのもの。左が湯道を削ったものです)


IMG_2392


何しろ金属ですから削るのも一苦労。

その後、磁気バレル研磨機を使って、
荒研磨を行います。


IMG_2390


細い模様の彫りなど深い部分は
綺麗にはなりませんので
石鹸をつけた真鍮ブラシで洗います。

すると全体が最初の写真のように光沢を帯びてきます。
( 前回のブログの写真と比べてみてください。)



ここまでの作業工程が荒みがきです。
…この言葉は専門用語ではなく、
       私が勝手に名付けたものです…


もちろん、この状態で出来上がりではなく、
 石の固定、
 鏡面磨き、
 いぶしなど…
これから一個ずつに向き合って、
本格的な仕上げの作業に入ります。



しかし、これらの作業工程は製作者によって変わります。

これはあくまで私のやり方。
もっと効率的で良いやり方もあるのかもしれません。

しかし、こういった作業工程の違いも
出来上がった作品の個性につながっていきます。


 いずれにしても、
 まだまだ一つ仕上げるのに
 時間と手間がかかります。


ですが、私はこの作業工程が

『指のあたりが良くて
 やわらかいラインを持つ
 美しく輝きのある
 私のリングの特徴を作り出している…』

と、考えています。






 広島ブログ                                  
  
 

IMG_2389


この数ヶ月間、
頑張って作ってきたワックスを
鋳造していただきました。

写真は、シルバー925でキャストされたリングの山。
これらは作品展でお披露目する新作の1/4くらいです。



まず、最初にやる作業は、
一つ一つ戻ってきたものをチェックして、
鋳造にいくらかかったかメモをします。

 これは価格を決める大切な作業。

そして出来上がったリングにどの石が入るのか確認して
これもメモとデザインの確認をします。

 これらは大事なことです。

しかし、いつもこの作業が大仕事になってしまいます。


リングのワックスは、石に合わせ作っています。
ですから、石が合わないと完成しません。

 後でわからなくならないように
 あらかじめデザイン画を残したり
 メモを取ったりしているのですが、
 ワックスで製作している時に、
 デザインとは違うイメージが湧いて、
 まったく違うカタチになることがよくあるのです。

出来上がった時にデザイン画を修正すればよいのですが、
カタチにすることに夢中で忘れてしまうんですね…。


数ヶ月後…、
数十個のキャストされたものが戻ってきた時、
完全にデザイン画を描いた時のこと…、
ワックスでカタチを作った時のこと…、
を、忘れてしまっているのです。

それで、どれがどれやら…、
デザイン画と現物が一致しない…。

自分でもわからなくなっているのです。

思えば、毎回、同じことをくりかえしています。




さて、そんな結構ややこしい作業が終わると
いよいよ作品作りも佳境です。

 削り。
 磨き。
 石留め。
 仕上げ。

これからも、先は果てしなく作業は続きます。



ワックスの作業が終わり、ひと安心もつかの間…。

削りや磨きで
石を壊すことは、
ほとんどありませんが、
石留めの時に
あやまって石を叩いて割ることがあるのです。

その場合、ほとんど替わりの石を使うことが出来ません。

私は、ちょっと変わった石を使っていることが多いから…。

本体のリングもカタチを変えることができません、
石に合わせて作っているから…。

ですからリストから抹消されて、
作品として発表できなくなってしまいます。



 こんなことから、
 最終的に出来上がるまで
 まったく気は抜けません。

『 気持ちの抜けは、トラブルのもと!』

『無事に全て仕上がるまで、丁寧に!』

 まるで"祈るような気持ち"で作品作りを続けています。





 広島ブログ                                  
  

IMG_2378



シルバーアクセサリーを長時間放置していると
黒く変色してしまいます。

 これはシルバーの "硫化" という現象で、
 空気中のイオウ分とシルバーが反応して
 黒変する現象です。

ですから、シルバーアクセサリーを
敬遠する方もいらっしゃいますが、
それはとても残念なことです。


ほんの少し気を使って、手入れすることで、
美しく保つことができますし、
元の美しい状態に戻すこともできます。


 まずは保管についてですが、
 空気にさらさないことが重要です。
 チャック付きの袋に入れておきましょう。
 しっかり封をして空気を遮断することで、
 "硫化" を防げます。

 もしも黒っぽくなった場合ですが、
    "シルバーポリッシング (銀磨きクロス)" を、
 使って磨くと綺麗になります。


IMG_2379



 黒くなったものを磨くと
 立体的なものや表面が凸凹したもの、
 経年使用してできた傷などに
 黒い部分が残ります…。
 しかし、それが、
 シルバー製品ならではの "味" となります。


私はこのリングを
育てているようなつもりで使用しています。
傷のひとつひとつが
共に時間を過ごした証になります。
新しいピカピカのものにはない、渋い魅力です。


    "シルバーポリッシング (銀磨きクロス)" は
 ジュエリー専門店はもちろんですが、
 ホームセンターや100円ショップ、楽器店、ネット…
 などで手に入ります。
 購入はそんなに難しくありません。
 シルバーアクセサリーを持っている方は
 一枚持っていてください。



余談ですが、
私は基本的に磨くことが好きなので、
クロスを手にすると手が止まりません。

 磨けば磨くほど美しくなりますし、
 小さな達成感が得られ、
 ストレス解消になるような気もします。

作品展の時に、
いつもクロスを持っていると指摘されます。
しかし、それは、
シルバー製品だったらなんでもいい訳ではなく、
自分の作品に愛情を持っているからこそ、です。

『いい状態の作品を手にとってみてもらいたい…。』
と、いう思いがあるからこそ磨きに力が入ります。




 広島ブログ                                  
 

このページのトップヘ