
この数ヶ月間、
頑張って作ってきたワックスを
鋳造していただきました。
写真は、シルバー925でキャストされたリングの山。
これらは作品展でお披露目する新作の1/4くらいです。
まず、最初にやる作業は、
一つ一つ戻ってきたものをチェックして、
鋳造にいくらかかったかメモをします。
これは価格を決める大切な作業。
そして出来上がったリングにどの石が入るのか確認して
これもメモとデザインの確認をします。
これらは大事なことです。
しかし、いつもこの作業が大仕事になってしまいます。
リングのワックスは、石に合わせ作っています。
ですから、石が合わないと完成しません。
後でわからなくならないように
あらかじめデザイン画を残したり
メモを取ったりしているのですが、
ワックスで製作している時に、
デザインとは違うイメージが湧いて、
まったく違うカタチになることがよくあるのです。
出来上がった時にデザイン画を修正すればよいのですが、
カタチにすることに夢中で忘れてしまうんですね…。
数ヶ月後…、
数十個のキャストされたものが戻ってきた時、
完全にデザイン画を描いた時のこと…、
ワックスでカタチを作った時のこと…、
を、忘れてしまっているのです。
それで、どれがどれやら…、
デザイン画と現物が一致しない…。
自分でもわからなくなっているのです。
思えば、毎回、同じことをくりかえしています。
さて、そんな結構ややこしい作業が終わると
いよいよ作品作りも佳境です。
削り。
磨き。
石留め。
仕上げ。
これからも、先は果てしなく作業は続きます。
ワックスの作業が終わり、ひと安心もつかの間…。
削りや磨きで
石を壊すことは、
ほとんどありませんが、
石留めの時に
あやまって石を叩いて割ることがあるのです。
その場合、ほとんど替わりの石を使うことが出来ません。
私は、ちょっと変わった石を使っていることが多いから…。
本体のリングもカタチを変えることができません、
石に合わせて作っているから…。
ですからリストから抹消されて、
作品として発表できなくなってしまいます。
こんなことから、
最終的に出来上がるまで
まったく気は抜けません。
『 気持ちの抜けは、トラブルのもと!』
『無事に全て仕上がるまで、丁寧に!』
まるで"祈るような気持ち"で作品作りを続けています。